#5. V11スポーツ

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写真V11_01 何年か前の海外のショーに登場して以来随分と待たされたものの、ミレニアムを前に満を持して登場したV11スポーツ。日本上陸前に海外で行われた試乗会での評判もすこぶる良く、ここ最近ビッグニュースに飢えていたグッツィファンにとってはたまらないニュースとなりました。もちろん私自身もその一人であったのですが、グッツィを長年扱ってきた人間としてはやはり実際に触れてみないことにはなんとも評価しがたいというのが本音でした。そこで輸入元の福田モーター商会さんにせっつき、年末の試乗会にも登場した日本上陸第一号車の試乗をさせていただきました。そこで、2000年最初のコラムはこのV11スポーツについて、どの雑誌にも掲載されていないグッツィ一筋ウン十年のワタクシ神宮司自身が感じた事柄についてお話ししたいと思います。

写真V11_02 V11スポーツを前にして感じることは、そのボディの小ささ。昨年10月に行った試乗会に来ていただいた方にも見て感じていただきましたが、これはエンジンとボディのバランスが良い結果ではないかと思います。ポジションもコンパクトでなかなか良いのですが、ただステップの位置がもう少し前にあれば言うことナシだったのですが……。
 試乗してまず最初に気づいたことは、各雑誌でも取り上げられ評価の高いミッション。この新設計の2軸タイプ6速ミッションは、これまでのグッツィに比べ大幅にシフトストロークが短く(とは言ってもやっと国産車のレベルなのですが)シフトタッチも良好。シフトアップのたびに感じていたあの“ガツン!”が無くなっただけでも、随分とスポーツバイクらしくなったと言えるでしょう。さらに、かなりクロスしたギア比が選ばれたことでシフトアップ/ダウン時のショックが和らぎ、より一層スポーツバイクの要素が組み込まれています。ただ、トップギアの6速はルマン系・1100スポルト系の5速に比べややローギアード気味。5速4000回転で約120km/hだったルマン系に対し、V11は6速4000回転で110km/hチョットぐらいです。でもご心配なく。カムの変更によるものと思われる高回転域での伸びとマッチし(カムのプロファイルが解っていないので確かではありませんが、高回転での伸びは確実にアップしています)、なかなか楽しめる仕様になっています。

写真V11_03 また、クラッチの軽さも特筆モノです。重いクラッチはグッツィの特徴!?であり、GSJではレバー比の変更でその重さを軽減していましたが、V11は最初から軽い! もちろん油圧クラッチの影響が大きいと言えます。
 シフトにしてもクラッチにしても、こういった細かな操作系が軽く扱いやすくなればそれだけでバイクが軽く動くようになり、ライディングの楽しさが増してくるというモノです。この点においてV11スポーツは合格点と言えるのではないでしょうか。

写真V11_04 では、さらに細かい部分のお話しをしましょう。
 V11スポーツは、これまで車体のセンターにあった大きなミッションケースが小さく前方に移動したことやキャスター角の変更などによってフロントヘビーのバイクに仕上がっています。これは今までのグッツィに乗ったことのある人であれば誰でも感じられる特徴です。ルマン系はもちろん1100スポルトでさえリアヘビーのマシンだったことを考えると、これだけでも十分にスポーツしていると言えます。ただ、そのワリにはハンドリングにやや物足りなさを感じてしまいます。この要因としてタイヤとのマッチングがあると思います。V11スポーツは1100スポルトに比べキャスター角が1度立った25度に設定され、それに合わせフロントフォークのオフセット量も1100スポルトの45mmから40mmに変更されています。このフロント周りのアライメントの変更と、フロント荷重の増えた重量バランスでクイックなスポーツバイクらしいハンドリングが与えられているハズなのですが……。

写真V11_05 試乗したV11スポーツには「ピレリ・ドラゴンコルサ」が装着されていました。このタイヤは、ラウンド形状が丸く接地幅が広いうえに、ピレリのラインナップの中でもかなりのハイグリップ仕様で絶大な接地感を感じることが出来ます。がしかし、このドラゴンコルサのタイヤ特性とV11の車体とのマッチングがどうも良くなかったのです。そして皆さんに納車される量産モデルには「ピレリ・ドラゴン」が標準装着されています。このタイヤはトップグレードのドラゴンコルサの一つ下のグレードですがタイヤの特性としてはほとんど同じ。絶大なグリップ力が、逆に軽快なはずのV11のハンドリングの足を引っ張っているように感じるのです。そこで、GSJのデモカー用に用意したV11に「ミシュラン・マカダム90」を装着してみたのですが、スタンダードタイヤで感じた物足りなさが一気に解消されました。もちろんドラゴンコルサで感じた不満はどうしようもないと言うレベルではなく、気にしないで乗り切ることもできますが、日本の道路状況や使用状況を考えた場合、GSJではV11スポーツにはミシュランのタイヤ特性の方が合っているのではないかと感じました。
写真V11_06 そしてリア周りは、トルクロッドがハの字になったパラレバーが採用されたことも重要です。この設定によって、リアサスペンションの初期作動をスポイルすることなく、アクセルオンでリアに荷重がかかったときの安定感をしっかりと感じることが出来ます。これは1100スポルトやマーニのパラレバー用に開発したGSJオリジナルチューニングとして実績を積んだリア周りの設定と同じ。約25mmというファイナルケース側の広がり寸法もGSJオリジナルとほぼ同じになっています。
 私自身、皆さん以上にこのV11スポーツには期待しています。その期待の意味を込めて良いことも悪いことも含めて今回のコラムにしてみました。「20%の不出来を残したのがグッツィ」と思っているだけに完璧なバイクがリリースされると、それはグッツィではなくなるのかも知れません。そういった意味ではこのV11スポーツもグッツィらしい、そして様々な可能性を秘めたバイクだと言えるでしょう。


写真V11_07※ グッツィ・スポルト・ジングウシではV11スポーツの納車整備がはじまっています。納車整備とはお客様に車両をお渡しする前に、各部の点検・微調整・グリスアップなどを行い、最高の状態で納車するための準備です。もちろんここでも長年モトグッツィを扱ってきた経験がいかされています。またV11スポーツの試乗車もご用意いたしました。どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。



  • #01 エンジンオイルの話
  • #02 暖気の話
  • #03 バッテリーの話
  • #04 タイヤの話
  • #05 V11スポーツ
  • #06 V11 LeMans(ル・マン)
  • #07 ドゥカティもお任せ下さい!!
  • #08 ここが変わった!
    02年&03年モデルのV11ル・マン
  • #09 久しぶりにGSJが
    DAYTONAに参戦します!!
  • <EDIT BY 河野正士>
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