#2.「暖気」

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 ここではモトグッツィを快調に、そして末永く楽しむためのワンポイントアドバイスから耳寄りな情報まで、グッツィ・スポルト・ジングウシが長年蓄積したノウハウや、世界中のネットワークから得た最新情報などをご紹介します。

 さて、第二回目となるこのコラムでは「暖気」についてお話ししたいと思います。

 暖気とは、走行前に行うエンジンのウォーミングアップのようなモノですが、これもただエンジンを回し続ければイイというモノではありません。暖気にもしっかりとした役割と方法があるので、それをしっかり理解して行うことが肝心です。

 その役割の一つは、エンジン内のオイルを拡散させることです。前回のコラムでもお話ししたとおり、エンジン内でオイルは実に様々な仕事をしています。しかし、エンジンが冷えた状態ではオイルが潤滑していないため、エンジンを守るために必要な油膜が非常に薄い状態、または切れている状態になっています。そんな状態でエンジンを掛けるわけですから、オイルがエンジン全体に行き渡るまでできるだけ負担をかけないように、ゆっくりとエンジンを回してあげる必要があるのです。

 また、エンジンが冷えている状態では、いくらエンジンが掛かっていても油圧が十分に上がっていません。と言うことは、エンジンオイルの潤滑が十分に行われていないと言うことになります。そんな状態でエンジンに負担を掛けてしまうと、耐久性を損なうどころか大きなトラブルにつながりかねないのです。油圧が上がるまで=エンジンが暖まるまではエンジンに負担を掛けないことが一番なのです。

 そして、もう一つの役割は、シリンダーヘッド内の爆発熱をエンジン全体に行き渡らせることです。エンジン内の各パーツには熱膨張を考慮して様々なクリアランスが設定されています。熱による膨張があってはじめてエンジンはその性能を発揮するのです。しかし、急激な熱膨張はトラブルのモト。エンジン始動直後に高回転をキープしたり、いきなりのレーシング(ブォーン、ブォーンという空吹かしです)は、ピストンヘッドをバーナーで熱するような行為でしかなく、トラブルの原因となってしまいます。特にエンジンが十分に暖まらない状態でのレーシングでは、シリンダー内のスリーブとピストンとのクリアランスが大きく、ピストンが首を振ってしまい、打音がするとともにスリーブを傷つけ、その結果耐久性や性能を大きく損なってしまいます。ここでもやはり、暖まるまでゆっくりとエンジンを回すことが一番です。

 では、エンジンに負担をかけない暖気とはどんなモノなのか。一番良いのは、エンジンを始動したあと、アイドリングより少し高い1500回転あたりで、ゆっくりとじっくりとエンジンを回すことです。そしてシリンダーヘッドやシリンダーはもちろん、クランクケースやオイルパンが暖まるまで続けることがエンジンにとって最も優しい暖気と言えるでしょう。しかし、エンジンを少し回しすぐに走り出してしまう人も多いでしょうが、騒音や時間的な問題でこれはある程度仕方がないことだと思います。でもそのとき、エンジンが暖まるまでの間、そうですね、距離にしてせめて2〜3kmは、ゆっくりゆっくり転がすように乗っていただきたいのです。いざ走り出してしまうと、いくら回転数を抑え気味に走っても、駆動負荷によって予想以上の負担がエンジンに掛かっているのです。エンジンに負担を掛けないようにゆっくりと暖める。これが暖気には必要なのです。

 日常生活の中でオートバイに乗られている皆さんにとって、暖気は面倒なものだと思います。まして、これから寒さもドンドン増し、暖気はこれまで以上に時間の掛かるものになります。しかし、このエンジンのウォーミングアップは実に重要なことなので、おろそかにすることなくしっかりと行って欲しいのです。


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